先日購入したLP - 2008年
気分転換にテンプレートを変えてみました。基本的にはデザインや表示場所を変えたくらいで、大きな変更点はありません。少し模様替えしてみたのはカテゴリー。今までは「ジャズ、ボサノヴァ、ソフトロック、サントラ……」のような分け方をしていたんですが、これからはそれをさらに細かくして、「国+ジャンル」で分けることにしました。でも、いざ国別でカテゴリー付けしてみると、「録音場所、レーベル、アーティストの国がそれぞれ異なる」というケースもあり、なかなか難しい面も……。いちおう、国の選択に関しては録音場所を優先しましたが、間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。
さて、本日取り上げるのはブラジルのマイナー・グループ、クラヴォ・イ・カネラが1977年に残した傑作『プレソ・ヂ・カーダ・ウン』。前回までは米国の『CARNIVAL / The Carnival』(1969年)、ポーランドの『BEMOWE FRAZY / Bemibem』(1974年)と、各国の「ブラジリアン・フィーリングが感じられるコーラスグループ」を紹介してきましたが、今回は本家ブラジルから。
“ブラジルの声”と称されるMPBの人気アーティスト、ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)の曲タイトル「Cravo e Canela」をそのままグループ名に冠したクラヴォ・イ・カネラは、男女混成の6人組で、おそらく『プレソ・ヂ・カーダ・ウン』が彼らの残した唯一のアルバムでしょう。
彼らのバックグラウンドやバイオグラフィーに関する情報が非常に少ないので、前述のミルトン・ナシメントを実際に意識していたのかどうかは分かりませんが、ミルトンの声/音楽が持つ壮大なスケールや独特の透明感に通ずる部分、あるいは彼からの影響を、このクラヴォ・イ・カネラのサウンドの中に見出すことができる気はします。
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かつては、ブラジルのインディレーベルからリリースされた“知る人ぞ知るレア盤”だったようです。とはいえ、近年、立て続けに国内盤のCD・LPが再発されたことで、現在はわりと知られている人気盤の一つになった、といえるかもしれません。
色々なところで推薦&絶賛されているだけのことはあり、内容のほうはまさに折り紙つき&看板に偽りなしといえる傑作。オープニングからエンディングまで、ブラジリアン・レア・グルーヴ~メロウ・サンバの好曲が揃っています。随所で聴かれる美しいメロディラインや独特の音作りは特筆に値しますし、ブラジルの伝統ともいえる優れたコーラスワークとコンテンポラリーなサウンドが見事に融合している点も見逃せません。
ハイライトは何といっても、ルイス・ゴンザーガ(Luiz Gonzaga)作の名曲「アザ・ブランカ(ASA BRANCA)」をオリジナリティ溢れるアレンジでカヴァーしたA-6のメドレー「ASA BRANCA - QUE NEM GILO」。「アザ・ブランカ」はブラジル国内で“第二の国歌”といわれるほど人気が高い曲らしく、ブラジルを代表するポピュラーソングなのかもしれません。本作のバージョンはメロウネスとグルーヴが詰った珠玉のナンバーで、アルバムを象徴するベスト・トラックです。
もちろん、全体としても、メロウな曲とダンサブルな曲がバランス良く配置されていて、インディレーベルやレア盤といった言葉が似つかわないほど、高いクオリティと完成度を備えたアルバムになってます。夕暮れのジャケットも素敵ですしね。収録曲は以下の通り。
A
1. PRECO DE CADA UM
2. FOGO PAGO
3. CAPOEIRA POEIRA
4. GAGO APAIXONADO
5. ESTATUTOS DE GAFIEIRA
6. ASA BRANCA - QUE NEM GILO
B
1. AMOR EM JACUMA
2. LOTECA
3. ESTUPIDO CUPIDO (STUPID CUPID) - BANHO DE LUA (TINTARELLA DILUNA)
4. IBORU IBOYA
5. O TREM ATRAZOU
6. BEIJO BAIANO (BOCA DE CAQUI)
上でも書きましたが、CD・LP共に国内盤で再発されています。リイシューしたのは、神戸のセレクトCD・レコードショップdisques dessinee(ディスク・デシネ)が手掛けるインディレーベルproduction dessinee(プロダクション・デシネ)。本作のほかにも、 デンマークの歌姫ビアギッテ・ルゥストゥエアのEPや、フレンチ・カリビアンのピエール・マイゼロワなんかをリイシューしている興味深いレーベルです。ちなみに、本作はCDとアナログの発売時期が違ったので、僕は結局、両方持ってます。限定生産と思われるアナログ盤も、今のところ色々なお店に新品で並んでいますので、お探しの際はお早めに。
Theme: ラテン、ブラジル、ボサノヴァ、フォルクローレetc. « 音楽
Tag: ブラジル クラヴォ・イ・カネラ プレソ・ヂ・カーダ・ウン MPB ミルトン・ナシメント レア・グルーヴ メロウ・サンバ ルイス・ゴンザーガ アザ・ブランカ プロダクション・デシネ
先日購入したLP - 2008年
せっかくなので日曜日に更新しようと思っていたんですが、結局今日になってしました。ワンダ・サーの『ヴァガメンチ』を「ボサノヴァで1、2を争う人気盤」と紹介してくれた某レコード屋さんの方が、続いて「ヴァガメンチと1、2を争っているのがこれ」と出してくれたのがこちらの『ドミンゴ(日曜日)』。
ブラジルの才人カエターノ・ヴェローゾと歌姫ガル・コスタの共演盤にして、現在も活躍している二人の記念すべきデビューアルバムです。とはいえ、ボサノヴァ史的には、この作品が一つの区切りというか、“ボサノヴァの終わりを象徴するアルバム”として位置付けられていたりもします。1950年代後半に、アントニオ・カルロス・ジョビン、ヴィニシウス・ヂ・モライス、ジョアン・ジルベルトらによって花開いたボサノヴァですが、このアルバムがリリースされた1967年頃になるとブラジル本国では勢いを失い、主役の座をMPBなどに譲ってしまったようです。
もちろん、この作品の後も、そして現在でさえも、しかも世界中に、ボサノヴァと呼ばれるジャンルの音は存在すると思います。しかし、実際、カエターノとガルもこの作品以降はトロピカリズモへ傾倒していきますし、この時代にボサノヴァという一つの現象が終焉を迎えたことは確かなのかもしれません。この辺の詳しいところは僕も知識不足でよく分かりませんが、先日、ルイス・カルロス著「ボサノヴァの歴史」という分厚い本を購入したので、近いうちに読んでみようと思っているところです。
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さて、このアルバムですが、まず、ボサノヴァというイメージが有する温かさや優しさとは一味違う、とても静かでメランコリックな、陰鬱とさえいえる独特の空気が漂っています。まさに、ボサノヴァムーヴメントの終焉を表現しているかのようです。また、タイトルは“ドミンゴ(日曜日)”ですが、“休日の楽しさ”ではなく、どことなく“週末が終わってしまう気だるさ”のようなものが伝わってきます。まるで、「ボサノヴァという一週間が終わり、明日からは別の一週間が始まる」とでも言っているかのように聴こえてしまうのは、こちらの思い込みのせいでしょうか。
オープニング曲A-1は、耳元で囁き合うような二人の掛け合い。まずガルが歌って、次にカエターノが歌って終わり、というとてもシンプルな構成の短い曲ですが、アルバムを象徴するナンバーです。以降は二人のヴォーカル曲がほぼ交互に続いていきます。ガルとカエターノが順に呟き合っているかのような雰囲気です。A-2、A-4、B-2、B-4がカエターノのヴォーカル、A-3、A-6、B-1、B-3、B-5がガルのヴォーカルで、A-1、A-5、B-6がデュエット。A-5の表題曲「ドミンゴ」はカエターノからスタートし、次にガルが続き、最後は二人の声が重なり合って終わります。そしてエンディング曲B-6では、穏やかなデュエットにてアルバムが幕引き。
上でA-1を“アルバムを象徴するナンバー”と書きましたが、アルバム全体を聴いてみると、A-1のイメージとバランスがずっと保たれているように感じられます。“同じ音が続く”というより、“同じ映像が浮かび続ける”というほうがニュアンスは近いでしょうか。純粋に音楽を愛する若い男女が、ギターを弾きながらシンプルに囁き合う曲「Coracao Vagabundo」とアルバム『Domingo』。ボサノヴァというムーヴメントを少し離れたところから眺めながら育った若者たちが、その本質を描写しようとして生まれたアルバムであり、曲である、といえるかもしれません。切ないメロディ、囁くように歌う優しい声、美しいヴィオラオンの音色、そして純粋さ。心地良いというには少し寂しすぎる気もしますが、若いカエターノとガルの眩さが詰まった詩的で美しいアルバムではあります。収録曲は以下の通り。
A
1. Coracao Vagabundo
2. Onde Eu Nasci Passa Um Rio
3. Avarandado
4. Um Dia
5. Domingo
6. Nenhuma Dor
B
1. Candeias
2. Remelexo
3. Minha Senhora
4. Quem Me Dera
5. Maria Joana
6. Zabele
こちらは某レコ屋さんで紹介される前に、すでに持っていました。ブラジル盤の中古LPで、正規リイシューかリプロかは不明ですが、おそらく後者でしょうか。最近リリースされた重量盤リイシューもあるみたいですね。オリジナル盤はあまり見かけないかもしれません。もちろんCD化されています。人気の高い作品なので、国内盤で入手可能だと思います。未聴の方がいたらぜひ一度聴いてみてほしいボサノヴァアルバムです。
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Tag: ボサノヴァ カエターノ・ヴェローゾ ガル・コスタ ドミンゴ 日曜日 トロピカリズモ MPB アントニオ・カルロス・ジョビン ヴィニシウス・ヂ・モライス ジョアン・ジルベルト