先日購入したCD - 2006年
ピアノジャズの四枚目は70年代の米国でのライブ盤。といってもリーダーはジャマイカ出身のピアニスト、モンティ・アレキサンダーで、レーベルはドイツのMPSです。MPSは1960年代初頭に家電メーカーSABA社内のレコード部門として誕生し、60年代後半にMPSとして再スタートを切ったドイツの名門ジャズレーベル。1971年以降はBASFと提携しながら、MPS/BASFとして80年代半ばまで続いたそうです。このブログではSABA時代の『NOVI IN WONDERLAND / Novi Quartet』を紹介したことがありますが、SABA/MPS/BASFは素晴らしいジャケットが多いのが特徴かもしれません。同じくSABAの『THE SWEETEST SOUND / Elsie Bianchi』や、MPS/BASF時代となる本作も、CDのジャケに採用されているドイツ盤ジャケは洒落ていると思います。
音楽面では、ソフトロック的な好盤『HERE AND NOW / The Third Wave』や、サイケデリック・ジャズの人気盤『NOISY SILENCE-GENTLE NOISE / The Dave Pike Set』など、多彩なアルバムをリリースしている印象がありますが、基本的にはSABA時代からオスカー・ピーターソンをはじめ、ピアニストの作品が多いレーベルとして知られているようです。
モンティ・アレキサンダーもその中の一人で、70年代を通してMPSに多くの作品を残しました。その後も、Pabloでミルト・ジャクソンと共演したり、Concordでレイ・ブラウンやアーネスティン・アンダーソンらと組むなど、精力的に活動している模様。本作は彼が残してきたピアノトリオ作の中でも指折りの傑作ライブアルバムで、代表作の一つといえるかもしれません。
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本作は1971年12月1日にニューヨークのモンティセロ・ロウンタウナー・モーターインにて行われたクラブギグの実況録音盤。脇を固めるのは、ベースのユージーン・ライト(Senator Eugene Wright)と、ドラムスのボビー・ダーハム(Bobby Durham)の二人で、彼らは当時、モンティ・アレキサンダー・トリオのレギュラーメンバーだったようです。なお、ユージーン・ライトはデイヴ・ブルーベックの人気作『Time Out / The Dave Brubeck Quartet』などに参加していたベテランベーシストであり、ボビー・ダーハムも60年代後半にオスカー・ピーターソンやレイ・ブラウンとトリオを組んでいたドラマーで、どちらも実力は折り紙つきといえそう。そんなベテラン二人の好サポートを受け、ジャマイカ生まれの新鋭ピアニストが、抜群のテクニックとカリブ出身らしい陽気さを併せ持つ独特のジャズを聴かせてくれるアルバムです。
演奏面ではオスカー・ピーターソン直系のスタイルといわれることも多いモンティ・アレキサンダーですが、選曲の幅広さも彼が持っている特徴の一つかもしれません。他のアルバムでも、ミシェル・ルグランやビートルズ、バカラック、アル・グリーンなど、様々なジャンルのスタンダードをカヴァーしているようですが、今回もルグランの「おもいでの夏」やカーペンターズで有名な「愛のプレリュード」などがチョイスされています。アルバム全体としてはカヴァーが5曲にオリジナルナンバーが2曲という構成です。
オープニングを飾るジミー・ヴァン・ヒューゼン(Jimmy Van Heusen)のヒット曲「It Could Happen To You」は、途中で「マイルストーンズ(Milestones)」のフレーズが挿入されるユニークなアレンジ。スピーディでハイテンションな演奏が10分以上に渡って繰り広げられ、いきなり圧倒されます。続くルグラン作「おもいでの夏」は一転して、じっくりと原曲の美しいメロディを聴かせる演奏。バラードで一休みといった感じでしょうか。3曲目は ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)作のラテンジャズスタンダード「マンテカ(Manteca)」をモチーフにしたオリジナルナンバーで、軽快なピアノと力強いベースラインがとても印象的な人気曲。タイトルがライブ会場の名前そのままなので、この日のために特別に用意した曲なのかもしれません。
LPだとサイドBの冒頭にあたる4曲目は、カーペンターズのカヴァーで知られるロジャー・ニコルズ作の人気曲「愛のプレリュード」。アルバムタイトルにもなっているピアノトリオらしいメロディアスな好曲ですが、頭や最後で鍵盤を叩くような音を鳴らすなど、カリブっぽさを感じさせるユニークな面もあります。5曲目のフランク・レッサー(Frank Loesser)作「I've Never Been In Love Before」はスピードアップしていく展開が本当に見事な好演です。6曲目は『ある愛の詩』のテーマ曲で、“Henry Mancini”と記載されていますが、オリジナルはフランシス・レイ(Francis Lai)のほうだと思われます。こちらは2曲目同様、しっとりとメロディを聴かせる演奏です。エンディング曲はタイトル通り、モンティ・アレキサンダーによるブルージーなオリジナルナンバーで、ゆったりとクールダウンしながらギグは幕を閉じます。収録曲は以下の通りです。
1. It Could Happen To You
2. Summer Of '42 Theme
3. Monticello
4. We've Only Just Begun
5. I've Never Been In Love Before
6. Love Story Theme
7. Blue Alexander
これは数年前、国内盤CDでリイシューされたときに購入しました。ユニヴァーサルジャズのヨーロピアン・コレクションというシリーズで2006年にPhilips、Fontana、MPSの作品がたくさんリイシューされたときのもの。邦題は『愛のプレリュード』です。本作はジャケのデザインが気に入ったので、後にLPでも購入しましたが、よく見たら『With Love』というタイトルの再発盤でした……。レーベルはPauseでリリースは1982年、ジャケはデザインが同じでタイトル違い。このほか、ジャケ違いのUS盤(MPS)や、ジャケはドイツ盤と同じ国内盤なども見たことがあります。US盤や国内盤はどれも安めで結構出回っていますので、見つけた際はぜひ。
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