ソフトロックの5枚目はフリー・デザイン。何となくプチ・ソフトロック特集を続けていましたが、いちおう今日でUS産のソフトロックは終わりにする予定です。数枚取り上げただけですが、こうやって紹介しながら、あらためて聴き直すことで、個人的な再発見もあったりして、自分にとってはとても良い機会になりました。
最後にご紹介するのはニューヨーク出身のソフトロック・グループ、フリー・デザインの2ndアルバムです。フリー・デザインは主に1960年代後半から1970年代前半にかけて“Project 3 Total Sound”レーベルからアルバムをリリースしたソフトロック・グループ。Project 3レーベルはイージーリスニングのバンマス/プロデューサーであるイノック・ライト(Enoch Light)がコマンド(Command)の後に設立したレーベルです。CommandやProject 3は、イージーリスニング/エキゾ/ラウンジを中心に、ジャズやクラシックなどもリリースしていたレーベルで、センスのいいラウンジ作品から、オーディオ・チェック用のレコードまで、ユニークな作品がたくさん残されています。
レーベルを設立したイノック・ライト自身もバンマスやプロデューサーとして多くのアルバムを録音していて、Project 3レーベルからリリースされたフリー・デザインの諸作品も、彼のプロデュースによるものです。その点では、フリー・デザインは前回までのA&Mやワーナーのアーティストとは少しタイプが違い、Project 3のレーベル・カラーが出ているソフトロック・グループといえるかもしれません。
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フリー・デザインは1967年にクリス・デドリック(Chris Dedrick)、ブルース・デドリック(Bruce Dedrick)、サンディー・デドリック(Sandy Dedrick)のデドリック兄妹によって結成されました。同年に1stアルバム『カイツ・アー・ファン(Kites Are Fun)』をリリースし、翌1968年には末妹のエレン・デドリック(Ellen Dedrick)も加わり、2ndアルバムとなる本作『ユー・クッド・ビー・ボーン・アゲイン』をリリースします。
彼らの音楽についてよく語られるのは、ジャズやクラシックの素養が感じられる点で、実際に聴いてみても、それはよく当てはまります。彼らの父親であるアート・デドリック(Art Dedrick)もトロンボーン奏者/アレンジャーだったようなので、デドリック家は音楽一家で、兄妹は皆、幼い頃から音楽教育を受けていたのかもしれません。特にクリスは作曲なども学んでいたようで、フリー・デザインの作品には彼のオリジナル曲も多く含まれています。
本作の収録曲はクリスによるオリジナルが7曲(A-1、A-2、A-6、B-2、B-3、B-5、B-6)で、カヴァーが5曲(A-3、A-4、A-5、B-1、B-4)という構成です。アルバム・タイトルにもなっているオリジナルのA-1「You Could Be Born Again」はオープニングを飾るに相応しい明るく軽快なソフトロック・ナンバー。続くA-2「A Leaf Has Veins」やB-5「Ivy On A Windy Day」も緩やかに展開する美しいハーモニー・ポップです。
A-3ではママス&パパス(The Mamas & the Papas)の代表曲「夢のカリフォルニア」も、ポップでグルーヴィーにカヴァーしています。バート・バカラック作のA-4「The Windows Of The World」は原曲の甘美なメロディを優しく歌い上げるバラード・ナンバー。デューク・エリントン(Duke Ellington)作のB-1「I Like The Sunrise」カヴァーは、アルバムの中でも随一のジャジーなポップス曲です。
耳に馴染みやすいメロディが印象的なオリジナル曲のB-2「I Found Love」はとても温かくて心地良いハーモニー・ポップ。パパパ・コーラスから始まるタートルズ(THE TURTLES)のB-4「Happy Together」も、男性ヴォーカルがリードするポップで明るいナンバーです。そのほか、ビートルズ(The Beatles)のA-5「Eleanor Rigby」カヴァーやA-6「Quartet No. 6 in D Minor」はコーラスがクラシカルに交錯するモダンなハーモニー・ポップで、B-3「Daniel Dolphin」やB-6「An Elegy」も彼ららしい特徴的なソフトロック。
アルバム全体としても、ジャズやクラシックのエッセンスが随所に散りばめられている洗練されたソフトロック〜ハーモニー・ポップ・アルバムといえそうです。海外ではバロック・ポップ(Baroque Pop)というジャンルもあるみたいですが、この言葉は彼らにとても似合う気がします。
A
1. You Could Be Born Again
2. A Leaf Has Veins
3. California Dreamin'
4. The Windows Of The World
5. Eleanor Rigby
6. Quartet No. 6 in D Minor
B
1. I Like The Sunrise
2. I Found Love
3. Daniel Dolphin
4. Happy Together
5. Ivy On A Windy Day
6. An Elegy
これは新品の再発盤LPで買いました。見開きジャケットの重量盤で、しっかりとした仕様だったと思います。(後でコンディションのいいオリジナルを安く見つけたので今はそっちを持っています。)CDは国内盤も輸入盤も出ているようです。CDは数パターンあり、ボーナス・トラックにも差があるかもしれませんので、探される際は確認してみてください。綺麗なコーラスを聴かせる曲が多いので、レコードで探す場合はコンディションのいいものを探したほうがいいかもしれません。
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Tag: ソフトロック ハーモニー・ポップ イノック・ライト ビートルズ バート・バカラック デューク・エリントン Project3
しばらくA&Mが続きましたので、今回はワーナーのアルバムをご紹介します。といっても、前回のアルバムとは何かと繋がりのある一枚です。まず、本作には『 ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS』(1968, A&M)でアレンジを担当していたニック・デカロ(Nick DeCaro)やボブ・トンプソン(Bob Thompson)といった面々が同じく参加しています。また、本作のハイライトの一つに挙げられる「ドリフター(The Drifter)」もロジャー・ニコルズが作曲したナンバーです。内容のほうも、『ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS』と並び、ソフトロック(Soft Rock)やサンシャイン・ポップ(Sunshine Pop)といったジャンルを代表するアルバムだと思います。
ハーパース・ビザールは60年代後半の数年間にワーナー・ブラザーズ(Warner Bros.)で4枚のアルバムを録音しているソフトロック・グループで、1968年リリースの本作は彼らの3rdアルバムにあたります。(70年代半ばにも再結成?して1枚だけアルバムを発表しているようです。)プロデュースはレニー・ワロンカー(Lenny Waronker)。彼はワーナー・ブラザーズや、その傘下であるリプリーズ(Reprise)で活躍した著名なプロデューサーです。
当時のワーナー・ブラザーズおよびリプリーズはこのレニー・ワロンカーの下、ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)やランディ・ニューマン(Randy Newman)の諸作品をはじめとするユニークなロック・アルバムを多数リリースしていて、それらは“バーバンク・サウンド”とも呼ばれています。バーバンク(Burbank)はワーナー・ブラザーズの本社があるカリフォルニア州の都市名とのこと。本作『シークレット・ライフ・オブ・ハーパース・ビザール』はハーパース・ビザールの代表作であると同時に、バーバンク・サウンドを象徴するアルバムの一つに数えられています。
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本作のメンバーはTed Templeman (vocals, guitar, drums)、Dick Scoppettone (vocals, guitar)、John Petersen (vocals, drums, percussion)、Dick Yount (vocals)の4名。各メンバーの詳細についてはよく分からないのですが、中心メンバーの一人であるテッド・テンプルマン(Ted Templeman)は後にワーナーのプロデューサーとなり、ドゥービー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)やヴァン・モリソン(Van Morrison)らを手掛けた人物です。また、アレンジは前述の通り、複数のアレンジャーが曲毎に起用されています。最も注目すべきはニック・デカロ(Nick DeCaro)。彼が担当している2曲(A-8とB-9)がおそらく本作のハイライトでしょう。
バート・バカラック作のA-8「ミー・ジャパニーズ・ボーイ」は美しいコーラスとストリングスによって奏でられる幻想的でノスタルジックなナンバー。とてもシンプルな楽曲ですが、何度聴いてもその美しさに惹き込まれてしまいます。そして、もう一つのベスト・トラックはロジャー・ニコルズ作のB-9「ドリフター」。こちらもやはり最高です。メロディも曲調もアレンジも展開も、さまざまな意味でソフトロックという言葉を象徴する1曲だと思います。
アルバム全体の構成は、架空のサントラをイメージしたコンセプト・アルバムになっていて、疑似サントラ的な短い間奏曲も収録されています。曲数が多いのもそのためです。また、銃の発射音が聞こえるA-3「ホエン・アイ・ワズ・カウボーイ」など、随所で効果音も挿入しながら、曲毎にさまざまなテーマ設定がされています。A-8「ミー・ジャパニーズ・ボーイ」で使われているサウンドも、いわゆる西洋人がイメージする東洋的なもの。そういう意味では、シーンやシチュエーションをイメージしながら聴き進めていくのも面白いかもしれません。
もちろん、多くのアーティストがカヴァーしているA-5「センチメンタル・ジャーニー」も、囁くように歌われる彼ららしいユニークなカヴァーですし、B-7「マッド」なども良質なソフトロックなので、曲単位でも十分に楽しめるアルバムだと思います。
A
1. Look To The Rainbow
2. Battle Of New Orleans
3. When I Was A Cowboy
4. Interlude
5. Sentimental Journey
6. Las Mananitas
7. Medley: Bye, Bye, Bye / Vine Street
8. Me, Japanese Boy
9. Interlude
B
1. I'll Build A Stairway To Paradise
2. Green Apple Tree
3. Sit Down, You're Rocking The Boat
4. Interlude
5. I Love You, Mama
6. Funny How Love Can Be
7. Mad
8. Look To The Rainbow
9. The Drifter
10. Reprise
これもUS盤LPで持っています。CDは何パターンかあるようですが、国内盤はMUZAKというレーベル?からボーナス・トラック入りでCD化されているみたいです。MUZAKのホームページを見たところ、興味深いジャズのタイトルがたくさん並んでいて驚きました……。個人的に今後もチェックしていきたいレーベルの一つです。
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もう一枚A&Mレーベルから紹介します。今日はソフトロックの名盤として知られる『ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ』です。個人的にもソフトロック(Soft Rock)やサンシャイン・ポップ(Sunshine Pop)といった形容が最も似合うアルバムだと思います。
ロジャニコの愛称で知られるロジャー・ニコルズ(ロジャー・ニコルス?)はコンポーザー/アレンジャー/プロデューサーなどをこなす職人肌のシンガーソングライターで、作詞家のポール・ウィリアムズ(Paul Williams)とコンビを組み、数多くの優れたポップスを世に送り出しました。最も有名なのはカーペンターズ(The Carpenters)に提供した名曲「愛のプレリュード(We've Only Just Begun)」でしょう。本作に収録されている楽曲もさまざまなアーティストたちにカヴァーされていて、当ブログでも『LONELY IS THE NAME / Sammy Davis, Jr.』(1968, Reprise)収録の「Don't Take Your Time」や、『CARNIVAL / The Carnival』(1969, World Pacific)収録の「Love so Fine」などをすでに紹介していると思います。
『ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ』(1968, A&M)は、彼が60年代後半に組んでいたグループ、ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ名義でA&Mレーベルから発表した作品です。ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズはロジャー・ニコルズにマレイ・マクリオード(Murray Macleod)&メリンダ・マクリオード(Melinda Macleod)の兄妹を加えた3人から成るソフトロック・グループで、本作は彼らが当時リリースした唯一のオリジナル・アルバムとされています。
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本作ではほとんどの曲でニック・デカロ(Nick DeCaro)がアレンジを担当しています。彼はロサンゼルスを中心に活動した名アレンジャーで、クロディーヌ・ロンジェ(Claudine Longet)のアンレジなどを担当し、A&Mレーベルに大きく貢献した人物です。アレンジ・ワークだけでなく自身もAORの名盤『イタリアン・グラフィティ』(1974, Blue Thumb)などをリリースしています。また、本作に収録されているオリジナル曲5曲のうち4曲で作詞を担当しているのは作詞家のトニー・アッシャー(Tony Asher)。彼はザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)の諸作品などで知られる作詞家です。本作のハイライトであるオリジナル・ナンバーの2曲、「Don't Take Your Time」と「Love So Fine」でも彼が作詞を担当しています。
選曲は前述の通り、12曲のうちオリジナル・ナンバーが5曲で、残りの7曲がカヴァー曲で構成されています。オリジナルはA-1、A-4、A-6、B-2、B-6です。一方、前回のセルジオ・メンデス&ブラジル’66も取り上げていたA-2「With A Little Help From My Friends」はビートルズのカヴァーで、B-3「I'll Be Back」もビートルズ。バート・バカラックのA-3「Don't Go Breaking My Heart」は透き通るように美しいボサノヴァ曲です。
A-5「Snow Queen」はキャロル・キングの作品で、彼女がまだ『Tapestry』(1971, Ode)などを発表する前に組んでいたグループ、The Cityのアルバムに収録されているナンバーです。B-1「Kinda Wasted Without You」はマレイ・マクリオード(Murray Macleod)も参加していたソフトロック・グループ、The Paradeの楽曲。B-4「Coconut grove」とB-5「Didn't Want to Have to Do It」の2曲ではラヴィン・スプーンフル(The Lovin' Spoonful)をフォーキーにカヴァーしています。
特筆すべきはやはりオリジナルのA-1「Don't Take Your Time」とA-6「Love So Fine」。ストリングスやコーラスがとても目まぐるしく、それでいて穏やかに優しく流れるように展開していくA-1「Don't Take Your Time」は、この約2分半の間にソフト・ロックやポップスの良いところがすべて詰まっているのではないか、と思えてしまうほどドリーミーで美しいナンバーです。もう一つのハイライトであるA-6「Love So Fine」は、軽快なドラム・プレイから始まる疾走感に満ち溢れた明るいポップ・ソング。こちらもアップテンポで2分にも満たない非常に短い楽曲ながら、甘いメロディが心の奥底にまで沁み込んでくる至高の小品です。
そのほかの曲でも、ストリングスアレンジとコーラスワークが奏でる絶妙なハーモニーは、終始、完璧といえるバランスに保たれています。オリジナルからカヴァーまで、珠玉のナンバーが揃った最高のソフトロック・アルバムです。
『ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ』は日本の渋谷系ムーヴメントで再評価されたアルバムの一つで、多くのヒット作を生んだA&Mレーベルでありながら本国の米国でもあまり知られていなかったようです。現在でさえ日本ほどの人気はないと聞いたこともあります。彼らの美しいメロディラインや洗練されたコーラスワーク、繊細なストリングスアレンジはとりわけ日本人の琴線に触れるのかもしれません。
また、このアルバムについて考えるとき、一つ一つの楽曲の短さが、美しさや儚さをより一層引き立てているようにも感じられます。余分なものが何もなく、最も美しい部分だけ、最も心地良い部分だけが綺麗に切り抜かれた音楽。ロジャー・ニコルズが作るソフトロックとはそういう音楽なのかもしれない、というのが僕のイメージです。
A
1. Don't Take Your Time
2. With A Little Help From My Friends
3. Don't Go Breaking My Heart
4. I Can See Only You
5. Snow Queen
6. Love So Fine
B
1. Kinda Wasted Without You
2. Just Beyond Your Smile
3. I'll Be Back
4. Cocoanut Grove
5. Didn't Want To Have To Do It
6. Can I Go
これは以前US盤LPで購入しました。たしかLPは国内盤でもリイシューされていたと思います。CDもボーナス・トラック入りなので気になるところ。シングルオンリーの曲も収録されていた気がします。廃盤ではないと思いますので、まだ聴いたことのない方はぜひ探してみてください。なお、紙ジャケット仕様のデラックス・エディションも近々発売される模様ですので、そちらも要チェックです。
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ハーブ・アルパートとA&Mの流れで今回は“セルジオ・メンデス&ブラジル’66”を取り上げようと思います。“セルジオ・メンデス&ブラジル’66”は60年代後半にA&Mレーベルから次々とヒット作をリリースし、米国、そして世界を席巻したブラジリアン・グループです。有名な作品ばかりですので、あらためて紹介するまでもないかもしれませんが、今回は彼らの作品群の中から一番好きなジャケットのアルバム『ルック・アラウンド』を選びました。瑞々しいコーラス・サウンドも、ジャケットの明るい色遣いも、ちょうどいまの季節が似合います。
これまで当ブログでもセルメンの影響を受けているアーティストやアルバム、いわゆるセルメン・フォロワーたちはたくさん紹介してきたと思うのですが、セルジオ・メンデスの関連作品で紹介したことがあるのは、彼がプロデュースしたソフトロック・グループ、ボサ・リオの『BOSSA RIO / Bossa Rio』(1969, A&M)と『ALEGRIA! / Bossa Rio』(1970, Blue Tumb)の2作品だけでした。意外にも彼自身のリーダー作は一つも紹介していなかったようです。
ブラジル出身の鍵盤奏者/アレンジャーであるセルジオ・メンデスは、50年代後半〜60年代前半にブラジル国内でジャズ・ピアニストとしてのキャリアをスタートさせます。国内では早い時期からジャズ・ボッサ・グループのリーダー作も発表していたようです。また、サイドメンとしての信頼も厚く、当ブログで取り上げた『DO THE BOSSA NOVA WITH HERBIE MANN / Herbie Mann』(1962, Atlantic)や『THE SOUND OF IPANEMA / Paul Winter With Carlos Lyra』(1965, Columbia)にもピアニストとして参加しています。
1960年代半ばにはA&Mレーベルから“セルジオ・メンデス&ブラジル'66”名義のデビュー・アルバム『HERB ALPERT PRESENTS SERGIO MENDES & BRASIL '66』(1966, A&M)をリリースして、米国でも大ブレイクします。とりわけ収録曲の「マシュ・ケ・ナダ(Mas Que Nada)」は世界中で大ヒットを記録しました。続く2ndアルバム『EQUINOX』(1967, A&M)を挟んで、1968年にリリースされたのが3rdアルバム『LOOK AROUND』です。
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セルジオ・メンデス率いるブラジル'66のメンバーは1作目から3作目までほぼ同じメンバーで構成されています。入れ替えは1作目で女性ヴォーカルの一角を務めていたビビ・ヴォーゲル(Bibi Vogel)が2作目以降ジャニス・ハンセン(Janis Hansen)へ変更されたのみ。プロデュースはハーブ・アルパート(Herb Alpert)とジェリー・モス(Jerry Moss)です。
3作目のメンバーはピアノのセルジオ・メンデス、ベースのボブ・マシューズ(Bob Matthews)、パーカッションのホセ・ソアレス(Jose Soares)、ドラムスのジョアン・パルマ(Joao Palma)、そしてツインの女性ヴォーカルがラニ・ホール(Lani Hall)とジャニス・ハンセンの二人。ちなみに、ジャニス・ハンセンとホセ・ソアレスはこの作品の後に離脱し、ザ・カーニヴァルを結成して『CARNIVAL / The Carnival』(1969, World Pacific)をリリースしました。ブラジル'66のメンバーは4作目から大幅に入れ替わりますので、本作が第一期メンバーでのラスト・アルバムといえるかもしれません。
楽曲はほかのアルバムと同じように欧米とブラジルのスタンダード・ナンバーを中心に構成されています。いずれもボサノヴァやサンバのリズムに乗せたカヴァーです。サイドAとサイドBのオープニングはそれぞれビートルズのA-1「With a Little Help From My Friends」とバート・バカラックのB-1「恋のおもかげ」。以降もブラジリアン・スタンダードであるA-2「ホーダ」やマルコス・ヴァーリのB-3「バトゥカーダ」、ジョアン・ドナートのA-4「The Frog」など、ブラジル音楽好きには周知の人気ナンバーが並びます。
また、終盤にセルジオ・メンデスの自作曲であるB-4「So Many Stars」とB-5「Look Around」の2曲が収録されているのも本作の特徴かもしれません。後者はアルバムのタイトルにもなっています。ハイライトはやはり「トリステーザ」でしょう。数多のカヴァーが存在する人気曲ですが、僕が一番初めに聴いたのもこのヴァージョンだった気がします。
どこで切り取っても軽やかなブラジリアン・リズムと華やかなツインの女性ヴォーカルに彩られた瑞々しいソフトロック・サウンドが聴ける非常に洗練されたポップス・アルバムです。
A
1. With A Little Help From My Friends
2. Roda
3. Like A Lover
4. The Frog
5. Tristeza (Goodbye Sadness)
B
1. The Look Of Love
2. Pradizer Adeus (To Say Goodbye)
3. Batucada (The Beat)
4. So Many Stars
5. Look Around
これも現在はレコードで所有していますが、最初に買ったのはデジパックの輸入盤CDだったでしょうか。いま持っているLPはジャケがボロめなので機会があれば買い替えたいです。CDでもLPでも、すぐに見つけることができると思います。
Theme: ボサノバ・MPB・サンバ・ブラジル音楽 « 音楽
Tag: セルジオ・メンデス A&M ホセ・ソアレス ボブ・マシューズ ジャニス・ハンセン ジョアン・パルマ ラニ・ホール ハーブ・アルパート ジェリー・モス ビートルズ
しばらくラテン特集を続けるつもりだったんですが、前回のハーヴェイ・アヴァーンを聴いていたら何となくソフトロックっぽいのを紹介したくなったので、NYラテン関連は少し休憩して、今日からソフトロック特集へ方向転換したいと思います。外の天気もようやく春らしくなってきましたので、季節的にもソフトロックがちょうどいいかもしれません。
さて、一枚目はラテン・テイストのポップ・ジャズ/イージーリスニングでヒットを飛ばした米国のトランペット奏者、ハーブ・アルパートの人気作『Whipped Cream And Other Delights』です。このアルバム自体の雰囲気はソフトロックよりも、むしろラテンに近そうですが、60年代後半のUSソフトロックを語る上で欠かせない重要レーベル、A&Mの創始者ということで、まずはハープ・アルバートの作品から一枚を選びました。
トランペット奏者/コンポーザー/アレンジャー/プロデューサーなど、さまざまな顔を持つアメリカ西海岸出身のミュージシャン、ハーブ・アルパート(Herb Alpert)は、1962年にプロデューサーのジェリー・モス(Jerry Moss)と組んでA&Mレーベルを設立します。レーベル名も彼ら二人の頭文字からとっているようです。A&Mレーベルは後にセルジオ・メンデス&ブラジル’66(Sergio Mendes & Brasil '66)やカーペンターズ(The Carpenter)といった人気グループを世に送り出します。ハーブ・アルパート自身も“ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス(Herb Alpert & The Tijuana Brass)”名義で数々のヒット作をリリースしました。ラジオ番組「オールナイトニッポン」のテーマ曲として知られる「ビタースウィート・サンバ」収録の1965年作『Whipped Cream And Other Delights』は、ティファナ・ブラスの代表作の一つであり、彼らが得意としたメキシカンなイージーリスニング・サウンドを満喫できるアルバムです。
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バンド名になっている“ティファナ(ティフアナ)”とはメキシコと米国カリフォルニア州の国境沿いに位置するメキシコの都市名で、彼らは音楽面でもメキシコのマリアッチ(Mariachi)を取り入れたスタイルを売りにしています。
オープニングのA-1「蜜の味(A Taste Of Honey)」はビートルズも1963年のアルバム『Please Please Me』でカヴァーした有名なミュージカル・ナンバー。ティファナ・ブラスの軽やかなラテン・インスト・ヴァージョンは当時大ヒットを記録し、翌1966年のグラミー賞“Record of the Year”にも輝いたそうです。
日本でお馴染みの「ビタースウィート・サンバ(Bittersweet Samba)」はA面の4曲目に収録されています。多くの方が何度も耳にしたことのある有名曲だと思いますが、こうやってあらためて聴いてみても、似た曲があまり思い浮かばないユニークなナンバーです。
基本的には「蜜の味」や「ビタースウィート・サンバ」に代表されるBGM向きの軽快なインストが主体で構成されています。A-6「Whipped Cream」やB-4「Butterball」、B-6「Lollipops And Roses」も明るく楽しげな曲です。トゥーツ・シールマン(Toots Thielemans)作のB-3「Ladyfingers」辺りはゆったりとしたイージーリスニングになっています。アルバムの至るところにマリアッチ風の軽音楽が詰まっている愛すべきアルバムです。
A
1. A Taste Of Honey
2. Green Peppers
3. Tangerine
4. Bittersweet Samba
5. Lemon Tree
6. Whipped Cream
B
1. Love Potion No. 9
2. El Garbanzo
3. Ladyfingers
4. Butterball
5. Peanuts
6. Lollipops And Roses
現在はレコードで所有していますが、最初に買ったのは紙ジャケの国内盤CDで、邦題は『蜜の味』とか『ビタースウィート・サンバ』とかだった気がします。国内盤でも輸入盤でも、CDでもLPでも、手軽に見つけることができるタイトルだと思います。ちなみに、CDの場合はボーナストラックの有無があるようなので買われる際は確認してみてください。
Tag: ハーブ・アルパート ジェリー・モス A&M イージーリスニング ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス